
収益物件の購入を検討する際、多くの方が「物件の価格」「利回り」「立地条件」などに注目されますが、見落としがちなのが「消費税」に関する知識です。とくに法人で物件購入を検討している方や、不動産投資に初めて取り組む方にとって、消費税は後々の税務処理や収支に大きな影響を与える要素となります。
アクティベイトでも、「収益物件を買うと消費税ってどうなるんですか?」「建物と土地で扱いが違うと聞いたけど…」といったご相談をよくいただきます。今回は、収益物件の購入時に知っておきたい消費税の基本と、対策方法についてわかりやすく解説いたします。
消費税がかかるのは「建物部分」のみ
まず押さえておきたい基本として、土地は非課税、建物は課税対象というルールがあります。つまり、収益物件の価格のうち、建物に該当する部分には消費税がかかるということです。
たとえば、1億円のアパートを購入した場合、そのうち建物が3,000万円、土地が7,000万円と評価されたとすると、消費税は建物部分の3,000万円にのみ課税されます。2024年現在の税率は10%なので、消費税は300万円となります。
個人の売主から購入する場合は非課税取引となるケースもありますが、売主が法人や課税事業者であれば消費税が発生することが多いため、契約前にしっかりと確認が必要です。
消費税の課税対象となる売主の特徴
収益物件の売主が「課税事業者」であるかどうかで、消費税の取り扱いが大きく変わります。課税事業者とは、簡単にいえば「消費税を納める義務がある事業者」のことです。
次のような売主から購入する場合、建物部分に対して消費税が発生する可能性が高いです。
・不動産業者(法人)
・法人の資産処分
・年間課税売上が1,000万円を超える個人オーナー
一方で、課税売上が1,000万円以下の個人事業主や、免税事業者である法人からの購入であれば、消費税がかからない場合もあります。
アクティベイトでは、こうした契約前の確認ポイントについても丁寧にご案内し、オーナー様が損をしないようサポートしています。
消費税が「戻ってくる」?仕入税額控除の仕組み
法人や課税事業者が収益物件を購入した場合、建物部分の消費税を経費として処理することが可能です。これが「仕入税額控除」という制度で、仕入れ時に支払った消費税を、売上時に受け取った消費税から差し引いて納税額を調整できる仕組みです。
ただし、仕入税額控除を利用するには以下の条件が必要になります。
・買主が課税事業者であること
・帳簿と請求書などの保存が正しく行われていること
・原則としてインボイス(適格請求書)の発行を受けていること(※2023年10月から導入された制度)
たとえば、課税売上がある法人がアパートを購入し、建物部分の消費税を支払った場合、一定の要件を満たしていれば、その金額を消費税の申告時に「控除」として扱うことができます。
つまり、実質的に「支払った消費税が戻ってくる」こともあるのです。ただし、控除の可否やタイミングには制限があるため、税理士などの専門家と連携して手続きを進めることが望ましいです。
インボイス制度と消費税の今後の注意点
2023年10月から導入されたインボイス制度(適格請求書保存方式)により、今後は「インボイスを発行できる事業者でなければ、仕入税額控除を受けられない」というルールが加わりました。
これにより、物件の売主がインボイス未登録の場合、買主が支払った消費税は仕入控除の対象外となるため、消費税分の負担が実質的に増えてしまう可能性があります。
アクティベイトでは、こうした最新制度もふまえて、売主・買主双方の登録状況や契約内容を確認しながら、安心して取引が進められるようサポートしています。
消費税が影響するのは「購入時」だけではない
収益物件の購入時だけでなく、将来的に「売却する側」になったときも、消費税の知識は非常に重要です。
たとえば、購入時に建物の消費税を控除していた場合、売却時には「課税売上」として計上し、消費税を納付する必要が出てくることもあります。また、減価償却が進んで帳簿上の建物価値が下がっていると、譲渡益が大きくなり、税負担が増えるリスクもあります。
そのため、消費税の扱いは「購入時の節税」だけでなく、「長期の収支設計」にも関わってくる要素です。短期で転売するのか、長期で保有するのかによっても最適な戦略は異なります。
アクティベイトでは、物件購入のご相談時に、将来の売却や相続まで見据えた資産設計をご提案しています。
まとめ|収益物件の購入では「消費税」も資産戦略の一部
収益物件を購入する際、消費税の取り扱いによって手取りや経費、将来の税負担が大きく変わることがあります。とくに法人や課税事業者にとっては、仕入税額控除やインボイス制度への対応が、投資効率に直結する重要なテーマとなります。
「建物には消費税がかかるが土地にはかからない」「売主の立場によって税金の扱いが異なる」「制度の変更により、過去のやり方が通用しなくなることもある」──このような消費税の基礎知識を持っておくことは、不動産投資を成功に導くうえで大きな武器になります。
アクティベイトでは、税制や制度の変化にも対応しながら、オーナー様の目的や状況に合わせたご提案を行っております。収益物件の購入を検討中の方は、税務面もふまえた戦略的なアドバイスをご希望であれば、どうぞお気軽にご相談ください。